- 初心者が資産を減らしやすい「3つの行動」とは何か
- 値下がり時の「狼狽売り」がなぜ不利になりやすいのか
- 1つの銘柄に集中することのリスクと、分散の考え方
- 毎日値動きを見て一喜一憂しないための心構え
失敗の多くは「何を買うか」より「どう行動するか」
投資を始めるとき、多くの人は「どの商品を買えばいいか」を一番に気にします。もちろん商品選びも大切ですが、長い目で見ると、結果を大きく左右するのは日々の行動の取り方です。同じ投資信託を持っていても、値動きにどう反応するかで最終的な結果は変わってきます。
ここでは、投資初心者がとくに陥りやすい3つの行動を取り上げます。どれも「やってはいけない」と頭で分かっていても、実際の場面ではついやってしまいがちなものばかりです。先に知っておくだけで、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。
| やってはいけない行動 | 起きやすい場面 | 主なリスク |
|---|---|---|
| ① 値下がりでの狼狽売り | 相場が急落したとき | 安値で売って損を確定させる |
| ② 1つの銘柄への集中投資 | 話題の株・テーマに飛びつくとき | その1社の不調で資産が大きく減る |
| ③ 短期の値動きで一喜一憂 | 毎日アプリで残高を見るとき | 不安で売買を繰り返し、コストがかさむ |
① 値下がりで慌てて売る「狼狽売り」
狼狽売り(ろうばいうり)とは、相場が急落して不安になり、慌てて投資商品を売ってしまうことです。値段が下がっている局面で売ると、その時点で損失が確定します。下がったものがその後また戻った場合、売らずに持っていれば回復できたはずの分まで取り逃してしまいます。
イメージしやすいように、簡単な数値例で見てみましょう。以下はあくまで仕組みを説明するための仮の数値で、将来の値動きや利回りを示すものではありません。100万円分を投資していて、急落で一時的に70万円まで下がった場面を考えます。
| とった行動 | 急落時(70万円)の対応 | その後相場が回復したら |
|---|---|---|
| 慌てて売る | 70万円で売却し30万円の損が確定 | 回復の恩恵を受けられない |
| 売らずに保有 | 評価額が下がるが損は確定しない | 価格が戻れば評価額も戻りうる |
| 積立を続ける | 安くなった価格で買い増しできる | 平均購入単価が下がりやすい |
もちろん、下がったものが必ず元に戻る保証はありません。相場の先行きは誰にも分からず、価格変動リスクは常にあります。それでも、長期の積立投資では急落は「安く買えるタイミング」になりうるという側面があります。あらかじめ「下がっても慌てて売らない」と決めておくことが、狼狽売りを防ぐいちばんの対策です。
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② 1つの銘柄に資金を集中させる
「この会社は伸びそう」「話題になっているテーマだから」と、1つの個別株や1つのテーマに資金を集中させるのも、初心者が避けたい行動です。うまくいけば大きな利益になりますが、その1社・1テーマが不調になったときのダメージも大きくなるためです。これを集中投資のリスクといいます。
これに対する考え方が分散投資です。値動きの異なる複数の対象に資金を分けておくと、どれか1つが下がっても、ほかがそれを和らげてくれる可能性があります。下の表は、同じ100万円を1社に集中させた場合と、多くの銘柄に分散した場合のイメージです(数値は説明用の仮のものです)。
| 持ち方 | ある1社が30%下落したとき | 資産全体への影響 |
|---|---|---|
| 1社に100万円集中 | その下落が直撃 | 約30万円の評価減 |
| 20社に5万円ずつ分散 | 1社分は5万円のみ | 約1.5万円の評価減にとどまる |
初心者にとって、個別銘柄を自分で何十社も選んで分散するのは大変です。そこで広く使われているのが、投資信託やインデックスファンドです。これらは1本買うだけで、中身として数百〜数千の銘柄に分散投資した状態になります。「分散の手間を肩代わりしてくれる仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。分散をしても価格変動リスクがゼロになるわけではない点には注意が必要です。
③ 毎日の値動きで一喜一憂する
3つ目は、毎日のように残高アプリを開き、少し上がっては喜び、少し下がっては落ち込む、という短期の値動きへの一喜一憂です。これ自体が直接お金を減らすわけではありませんが、不安が高じると、前述の狼狽売りや、根拠の薄い売買の繰り返しにつながりやすくなります。
売買を繰り返すと、その都度かかる手数料や、つみたての方針がブレることによる機会損失が積み重なります。長期の資産形成では、「決めた金額を、決めたペースで、淡々と続ける」ことが基本です。短期の上下は、長い時間軸で見れば途中経過の一部にすぎません。
| 確認の頻度 | 起きやすい心理 | とりやすい行動 |
|---|---|---|
| 毎日チェック | 小さな上下に振り回される | 不安で売買しがち |
| 月1回程度 | 大きな流れだけ把握できる | 積立を淡々と継続しやすい |
対策はシンプルで、確認の頻度をあらかじめ下げておくことです。たとえば「残高チェックは月1回だけ」と決めるだけでも、気持ちが楽になり、長く続けやすくなります。積立の設定を自動にしておけば、相場を見て判断する場面そのものを減らせます。
まずは「やらないこと」を決めておく
ここまで見てきた3つは、いずれも感情に流されたときに起こりやすい行動です。逆にいえば、相場が動く前の冷静なうちに「下がっても慌てて売らない」「1つに集中させない」「毎日は見ない」とルールを決めておくだけで、多くは防げます。投資は何を買うかと同じくらい、何をしないかが大切だといわれるのはこのためです。
なお、本記事は特定の投資手法や商品を勧めるものではありません。投資には価格変動をはじめとするリスクがあり、元本は保証されません。実際の投資は、必ず余裕資金の範囲で、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。
- 失敗の多くは商品選びより「行動」で起きる。先に知っておくだけで落ち着いて対応しやすくなる
- ① 狼狽売り…急落で慌てて売ると損が確定。長期の積立では急落は買い増しの機会にもなりうる
- ② 集中投資…1社・1テーマに偏らせず、投資信託などで広く分散してリスクをならす
- ③ 一喜一憂…確認は月1回程度に減らし、決めた金額を淡々と積み立てる
- 相場が動く前に「やらないこと」をルール化しておくのが最大の対策。投資は自己責任で